受験英語を一生懸命勉強した人に限って・・・

英語の名言を紹介してみます。

I have nothing to offer but blood, toil, tears, and sweat.
(私が提供できるのは、血と苦労、そして涙と汗以外何もない。)

これは、イギリスの政治家チャーチル(Sir Winston ChurchiH)のことばですが、ここでも、nothingのno-の部分が動詞haveを否定しています。だから、「bloodとtoil、そしてtearsとsweat以外(but)何も提供できるものはない」というように、haveを否定して解釈しないといけません。

さて、このチャーチルのことばですが、受験英語を一生懸命勉強した人に限って、「あっ、nothing but というイディオムが隠れているな。 nothing but~で『~だけ』という意味だから『~だけ提供できる』と訳せばいいんだ」と考えてしまいます。

このように公式通り訳しても構わないのですが、でも、このように読んでいる限り英語は上達しません。やはり、上で見たように、nothingのno-が実質的にどこを修飾しているのか考えて読まない限り、英語はスラスラ読めるようにはならないのです。

さらに言うと、nothing but のbutは前置詞で「~を除いて」という意味であることも理解しておく必要があります。 butがこのような意味をもっているからこそ、「~以外何もない」→「~しかもっていない」というように(再)解釈できるのです。スコットペリーの英語教材【リスニングパワー】

さて、ここまで分かったら、好きな女の子を落とすにあたり、
‘I want nothing but you’. をどう読んだらいいかもう分かるでしょう。

まずI want nothing と言って一息つきます。この段階では、まだ、「俺は何もいらないんだ」としか言っていません。

ここまで聞いた女の子は「えっ、何のことかしら……」と思います。

そこで、一息ついたところで、but you と言うのです。つまり、「君以外はね」と言うのです。ようするに、「俺は何もいらないさ、君以外はね」と言うことにより、相手に「私だけを愛してくれているのね」と(再)解釈させるのです。

nothing but を英語のイディオムとして捉えていては、好きな女の子をモノにすることもできないのです。